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六月十三さんインタビュー

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月まで38万キロ科学の旅

六月十三さんインタビュー
「妄想科学シリーズ」というサブタイトルが示すとおり、妄想を極限まで広げ、それにあえて科学的根拠を結び付けようという、“画期的な”ナンセンス・ギャグアニメ「ワンダバスタイル」。その原作者である六月十三さんに、いまなぜナンセンス・ギャグなのか? コンセプトのお話を中心にうかがってきました。
インタビュアー いわゆる「美少女モノ」とはちょっとテイストが異なっていて、ナンセンス・ギャグアニメという形になっていますが、このコンセプトが生まれた背景を教えていただけますか?
六月十三さん 最初に「美少女モノ」で何かないかっていう話があったんですけど、これまでとは違う方向性で作りたいっていう考えは最初からありました。「美少女モノ」っていうとキレイ、カワイイっていうことが重要になってくるんだけど、そこにギャグの要素を組み込めないかと思ったんです。美少女で“ダチョウ倶楽部”ができないかとか…。かわいい女の子をイジメて「キャッ」とか「イヤン」とか叫ぶシチュエーションっていうのは、ちょっとマニアックだけど、ウズウズするじゃないかというワタシの勝手な発想なんだけど(笑)。もともとナンセンス・ギャグが好きだったので、「女の子が“知らない世界”に突然引き込まれて被害にあう」という、そういう構図が浮かんだんですね。
インタビュアー 4人のアイドルが月をめざすという設定ですが?
六月十三さん 「売れない4人のアイドルをどう売るか?」っていう話から、売るには目立つことをやらなきゃいけない。じゃあ月でコンサートをやろうっていう、最初は単純な発想だったんです。SFというと昭和40年からテレビで放送された「スーパージェッター」というアニメがあったんですが、その中で主人公が乗る「流星号」という乗り物が、空気との摩擦によって高熱が発生し、白く光るっていう場面があるんです。そこまでリアルさを追求する事はワタシにはできないと思ったんですけど、逆に「絶対できない、やれないという空想、妄想」でなら勝負できるんじゃないかと考えたんです。つまり、月に行く方法を空想、妄想で広げながら、義務教育や高校の数学や物理で習う法則を使って、ある程度のリアルさをもたせる。そこから「妄想科学シリーズ」というタイトルが生まれたんです。カッコイイいい方をすれば、「進みすぎた科学へのアンチテーゼ」ともいえるかもしれません。

数年前に「○○研究序説」とかいう本がありましたけど、できないとか間違っていると指摘するのではなくて、稚拙なシカケに逆に英知を組み込んでいこうっていう発想でした。「東京大学アニメーション研究会」にご協力いただいた結果、月にアイドルを到達させるための“非現実的な”方法が毎回出てきますが、「コレで行けるのか!」って驚かれるかもしれませんね(笑)。でもこれらの方法は、理論上は可能なんですよ。でも最後の一歩が実現できない。その一歩が大きすぎるんですけど(笑)。どんなシカケがでてくるかは大いに楽しみにしてほしいですね。
インタビュアー お笑いがお好きだそうですが?
六月十三さん 「ゲバゲバ90分」「モンティパイソン」「天才バカボン」とか、子供の頃からナンセンス・ギャグを見て育ってきました。ギャグを作るならこれに近づきたいっていう気持ちは強いですね。アイドルユニットのマネージャーをしている「マイケル花形」というキャラクターは、番組を見てもらうとすぐ分かると思うんですけど、「さまぁ〜ず」の三村さんがモデルになっています(笑)。あの「○○かよ!」っていうツッコミが好きで、声優の千葉さんには頑張ってもらっています。
インタビュアー ストーリーの要である“月へ行く方法”をここで明かすことはできませんが、発想の源というのは六月さんの中でどうやって生まれていったんでしょうか?
六月十三さん 子供の頃から何に対しても感化されやすかったんですね。あと、自分の中で妄想することが好きだった(笑)。中学生の時に体操部に所属していたんですけど、当時放映されていた「キカイダー」というキャラクターをみて、「あのキックがやってみたい」って思ってしまったんです。そう考えたらもう止められないですね。後輩を練習台にしてにそのキックをマネしたんですけど、後輩は鎖骨を折ってしまって停学になりました(笑)。
インタビュアー 「ワンダバスタイル」というタイトルについて教えてください。
六月十三さん 実写やアニメの世界では“発進する、メカを準備する”ことを業界用語で「ワンダバ」っていうんです。テレビのウルトラマンシリーズで、地球防衛軍が飛行機で出動する時にかかる、男性コーラスのBGMが元になっているんですけど、そういうシーンが個人的に好きなんです。毎回発進するシーンがあるっていうことも「ワンダバスタイル」のひとつのコンセプトといえるでしょうね。毎回、放送のたびにアイドル達は宇宙に飛び出して行きますから(笑)。
このアニメは小学生から高校生にとっては、物理や数学の勉強に役立つかもしれないし(笑)、ナンセンス・ギャグやワンダバというものが新鮮に映るかもしれないですね。逆に現在30〜40代の大人は、1970年代の香りを感じていただけると思います。そういった意味では、「美少女」は登場しますが、いろんな世代の方に楽しんでいただけると思いますね。
インタビュアー 妄想科学“シリーズ”となっていますが?
六月十三さん このアニメが多くの方にご支持いただければ、シリーズ化していろいろな場所に“行きたい”ですね。地底や海底、過去、未来とか…。「シリーズ化したい」っていう希望を込めて付けてみたんですけど、逆にこれで終了して「何で1作しかないのにシリーズなの?」っていわれてみたい気もします(笑)。


六月十三さん 六月十三(むつき・じゅうぞう)
アニメ、ゲーム等のプロデュース・原作・脚本を手掛ける。代表作に『センチメンタルジャーニー』『HANDMAIDメイ』『天使のしっぽ』、OVAでは『こすぷれCOMPLEX』『魔物ハンター妖子』『サイバーシティOEDO808』、『HANDMAIDマイ』、ゲームでは『卒業』『誕生』などがある。アニメ『天使のしっぽChu!』が3月からスタート、ゲーム『天使のしっぽ』が発売中


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