『天使のしっぽ』の続編、『天使のしっぽChu!』がスタートするということで、原作・脚本を担当された六月十三さんにお話をうかがってきました。『天使のしっぽ』から1年が経ち、12人の守護天使たちがどのように成長し、その後、どんな展開が待っているのか? 『天使のしっぽ』シリーズの全貌に迫ります!
 
1959年6月13日生まれ・大阪府出身
アニメ、ゲーム等のプロデュース・原作・脚本を手掛ける
デビュー作:
「風船少女テンプルちゃん」(アニメーター)、「機甲創世記モスピーダー」(メカニック監修)、PC-88用「陽あたり良好」(ゲームシナリオ)、OVA「メガゾーン23」(メカ・スーパーバイザー)

代表作に『センチメンタルジャーニー』『HANDMAIDメイ』『天使のしっぽ』、OVAでは『こすぷれCOMPLEX』『魔物ハンター妖子』『サイバーシティOEDO808』、『HANDMAIDマイ』、ゲームでは『卒業』『誕生』などがある。アニメ『ワンダバスタイル』が4月からスタート、ゲーム『天使のしっぽ』が発売中
インタビュアー:
続編ということで『天使のしっぽChu!』(以下、『Chu!』)が新たにスタートしますが、これは『天使のしっぽ』(以下、『しっぽ』)の企画段階ですでに決まっていたことなのでしょうか?
六月:
『しっぽ』をはじめた頃から、1年とか2年で終わらせたくないという気持ちはありましたね。『北の国から』とか『渡る世間は鬼ばかり』といったTVドラマを見ていて、家族が一緒に暮らしながら、成長していくっていう姿を描きたいなっていう気持ちが強くなったんです。

7年前に、ゲームからアニメになった『卒業』という作品をつくった時、そのシリーズがいろいろなメディアで5年間続いたんですが、ずっと主人公たちが高校3年生のままということに違和感を感じたことも、この作品をつくるキッカケになったかもしれませんね。

時間が経過することで必然的に新たなストーリーが生まれていくはずなのに、それがないことで、当時はどこかに悶々とした気持ちがあったのは確かです。
インタビュアー:
12人の美少女たちを純粋な人間ではなく、主人公が過去に飼ったペットたちが転生したという設定にした理由は何ですか?

六月:
「12人の美少女」が独身である睦 悟郎の家に一緒に住むという設定にすると、そこには単純に恋愛の話しか生まれないんじゃないかと思ったんです。それではいわゆる“美少女もの”というこれまでにもあった枠を抜け切れない。そこで、昔飼っていたペットたちという設定にしたんです。そこには、基本的には“お互いを信頼するという意味での愛情”のみが存在することになりますからね。
インタビュアー:
12人の守護天使たちに、それぞれトラウマを持たせていますが。
六月:
最初、動物の死因をトラウマとすることが不謹慎だといわれるかなと思ったんです。でも、視聴者の中にも、子供の頃、動物を飼い、死別した経験をお持ちの方もきっと多いでしょうから、共感を呼びやすいと考えたんです。トラウマがあることでそれを乗り越え、成長する姿を描くことができる。それが感動を呼ぶことにもつながります。

私自身、いまネコを飼っているんですけど、子供の頃からこれまでにたくさん動物を飼いました。小学生の頃には、飼っていたカメを冬眠させたりしましたね。最初の死別経験は、幼稚園の頃に飼っていたイヌ(スピッツ)でした。老衰だったんですけど、死ぬとどうなるかってことを学びましたね。体が硬くなって、冷たくなっていく…。そういう経験が何度もあるから、動物の死体を見ても気持ち悪いとか、怖いとは思いません。12人の守護天使でいうと、キツネ、タヌキ、サル以外は全部飼っていましたね。自分の経験が、物語にすごく反映されていると思います。
インタビュアー:
四聖獣が登場する頃から、ストーリーの展開として、単なる“守護天使たちの恩返しの物語”ではなくなってきました。
六月:
守護天使たちが、トラウマをいかに乗り越えていくかということだけを描いていると、それだけで12話が終わってしまいますし、家族のふれあいだけでは物語にメリハリがつかなくなります。シリーズ構成を考えるうえで、どこかに苦いもの・辛いものを織り込むことが必要だと思ったんです。

その役割を果たしたのが、四聖獣でした。説教じみたことはやりたくなかったのですが、矢ガモをはじめ、動物に虐待を加える人間がいることは事実です。そこで四聖獣に、動物と人間との関係を語らせたんです。守護天使たちがこれを語ったらシビアすぎますからね。
インタビュアー:
具体的に、続編の『Chu!』ではどのような展開が用意されているのでしょうか?
六月:
『しっぽ』では、守護天使たちは社会とは関わりを持たない形で生活をしていましたが、現実にはいろいろな問題があります。そこで『Chu!』では、視聴者の方々が感じていた素朴な疑問を解決する答えが用意されています。

学校に通ったり、生活費を稼ぐためにアルバイトをしたり、積極的に社会と関わっていくストーリーになっています。12人の女の子の存在に対して、アパートの大家さんが疑問を持ち、マスコミも登場します。守護天使たちはいろいろな人間とふれあうことで、さらに成長を遂げていくんです。

あと『しっぽ』ではキンギョのラン、インコのツバサ、ウサギのミカがメインに活躍していましたが、『Chu!』ではキツネのアカネ、カメのアユミ、サルのモモ、タヌキのミドリなど、前作ではピックアップできなかったキャラクターが活躍することになります。
インタビュアー:
最後にキッズステーションをご覧のみなさんにメッセージをお願いします。
六月:
『Chu!』は、12人の守護天使たちが、本当の意味で人間とふれあい、成長していく物語になっています。ひとりひとりが何らかの成長を遂げていますので、12人の成長ぶりを見守ってください。本シリーズでの最終話はアッと驚く展開になっていますのでお楽しみに。あと、ストーリーの冒頭は、2月27日発売されたゲーム『天使のしっぽ』(プレイステーション版)のアレンジになっていますので、そちらもぜひ体験してみてください。