江口先生はアニメ化以前から『ギャグマンガ日和』のファンだったということですが、誰かにすすめられたんですか? 江口「違うんですよ。連載誌の『月刊少年ジャンプ』が自宅に送られてくるんで、パラパラ見ている中で引っかかったんです」 献本されたマンガ雑誌はちゃんとチェックされるんですね。 江口「いやー、ちゃんと読むのは1冊の中で1本くらいですよ。だから、それに引っかかるのは面白い作品だなって思っています」 じゃあ、『ギャグマンガ日和』も新連載当時からチェックを? 江口「いや、途中で『うわ〜、変なマンガだ!』って気づいて。その後は読むたびにハマッていきました。とにかく会話のテンポがすごく面白くて。今では『月刊ジャンプ』が届くと貪るように読んでます」 どこが江口先生の琴線に触れたんでしょう? 江口「ギャグをやっている人間がこれに触れないとマズイでしょ。それほど最先端。とにかく今ギャグマンガで一番面白いと思う!」 大地「オレもそう思う。これと同じ種類のものってないもん。アニメをやっている立場から言うと、これを最初にアニメ化した頃の風潮って、“お約束”っていうのが多くて、お約束自体をギャグにしているんだよね。『こういう時にこれをやるのがお約束だよね!』とかさ。それがすごいイヤだった。でもコレはお約束が1個もない。あとね、絶対キャラクラーに媚びないぞって姿勢が見えているから飽きない。ギャグマンガって長く続けているとキャラに媚びたくなるし、媚びたら楽なんだよ。でも、『ギャグマンガ日和』は徹底的に媚びないし、裏切ろうとする姿勢がすごい!」 江口「それとね、すごく悔しいんだけど言語感覚がいいの。何気ない言葉の組み合わせとか選び方がね」 セリフのやりとりは21世紀のお笑いブームにすごくリンクしている感じを受けるんですが。 江口「うん。今の若手の漫才をマンガでやってる感じだよね。会話のやりとりのテンポも速い。1コマの中で会話が4往復くらいしてるもん」 そう言われてみれば、ふき出しが1コマの中で入り乱れていますね。 江口「これが意外と読みやすいんだよ」 あれは新しい技法なんですか? 江口「かなり新しい。オレもマネしてるんだけど(笑)。でも、オレがこの歳で今さらマネしてもダメなんですよ」 そういう技法的な部分に注目して読んでいるなんてさすがですね。 江口「当たり前ですよ。オレは下の世代からも盗みますから! すぐ影響を受けちゃう(笑)。でもさすがに『ギャグマンガ日和」はマネできないな」 フォロワーも出てきていますね。 江口「今、ギャグマンガ家目指している新人の応募作はみんなこれの影響下といってもいいでしょ。でも、格が違う。相当なセンスがないと面白くならないんだよ」 会話もそうですけど、歴史の教科書に落書きをする小学生のような、プリミティブな笑いの要素が大好きです。 江口「エジソンの写真にヒゲを描くとかね。ギャグって共通認識のある人物とかをいじると面白いんだよね」 
江口先生は歴史上の人物いじりみたい作品は? 江口「オレはやってない。勉強嫌いだったんで(笑)。あとは『バカドリル』とかの要素も強く入っているね。ああいうセンスが普通に染み付いてる世代なんだろうな」 アニメ版も熱烈なリクエストを受けて続編の制作が決定したわけですが、大地監督、前作とどんなところを変えていこうと? 大地「ない(キッパリ)」 では、前作をより進化させるんですね? 大地「進化もない(キッパリ)」 そのままやると。 大地「前作が成功したと思っているので。ただ、前作も最初のころは若干探っているんですよね。でも、後半でアニメ用の端折り方みたいなものを体得してからは、もう考えることはなくなりました。あとは感覚でやっていけばいいや!って」 端折り方ですか。 大地「監督っていうと、普通はあらゆるスタッフの上に立って指示する役なんだけど、オレの場合はそうじゃなくて、例えば『十兵衛ちゃん2』だったら、『オレ、徹底的にシナリオライターになるから、それ以外は全部やってね』って感じなの」 それって監督なんですか!? 大地「それがオレのやり方(笑)。ここだけは譲れないよってポジションを決めちゃえば、後は楽なんですよ」 いいシステムですね。 大地「そうでしょ。『ギャグマンガ日和』に関してはセリフの編集なんですね。あとは才能あるスタッフにお任せ!」 江口「そのセリフの編集に対するこだわり方が鬼みたいなんだよね。そこに一番情熱をかけているのがわかるもん、『ハリスインパクト』(第7話)とか(笑)」 ああいうのはどんな演出をつけているんですか? 大地「あれはね、(演出)つけてないんですよ。役者(声優)が考えてきたものをまず出してもらって、それがいいか悪いかだけなんです。ヒュースケンも最初は『コ・ブ・ネ・デスケド〜』とか片言で返していて、その場ではもう大笑いしてOKを出したんだけど、編集段階でタルく感じた。やっぱり普通じゃなきゃダメだな〜ってことで、ヒュースケンだけ全部録り直したんですよ」 役者さんも大変ですね。 大地「大変だけど役者たちは収録をすごく楽しみにしていてね、12本終わったらみんな寂しいーって顔してましたよ。うえだゆうじなんか、『えー、もう終わりですか……』って。だから新たに12本やることになって、役者たちが一番喜んでますね」 原作ファンの江口先生としては、アニメ版の評価はいかがですか? 江口「ギャグマンガって読む人によって受け取り方とか読み方がぜんぜん違うんですね。オレは自分で最高の読み方をしてると思っているんだけど(笑)、大地版アニメはそれに近い感じがする」 だったら、江口先生にとっては幸せなアニメ化じゃないですか。 江口「そうだね、ぜんぜん違和感がない」 ギャグマンガの原作をアニメにするのって難しいでしょう? 大地「いや、オレは難しくないよ(笑)」 江口「なにしろ天才だからね!」 でも、他の作品を観て、「これは違うな!」って思うこともあるでしょう? 大地「気に入らないですねー。アニメのスタッフが一番ダメなところは、これが面白いギャグだって思ったら、それを大事にしてカットを積むんですね。ものすごく大事に大事に説明しながら『ほーら面白いですよ!』って」 くどいとつまらないですよね。 大地「間がないんだよね。サラっと言うから面白いのに。圧倒的にわかってない」 江口「そういうのって、わからない人は絶対わからないからね」 前作以上に面白いものを作らなければいけないというプレッシャーはないですか? 大地「ないです。任せてよ。誰がやると思ってるの!?」 江口「天才アニメ監督!」 大地「笑えないやつはセンスがない!くらいに思ってますよ(笑)」   
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