「ボノロン」をプロデュースした、漫画家・原哲夫先生にインタビュー!「ボノロン」をプロデュースした、「北斗の拳」などで知られる漫画家・原哲夫先生にインタビュー! 「ボノロン」誕生秘話や「ボノロン」に託した想いなどをうかがいました。
原哲夫
1961年生まれ、東京都出身。 「週刊少年ジャンプ」で「北斗の拳」「花の慶次」「影武者・徳川家康」などの濃密・重厚な傑作を続々と発表。雑誌BARTで発表した「公権力横領捜査官・中坊林太郎」は、腐敗した政財界汚職を両断する話題作となる。 現在、週刊「コミックバンチ」誌上で「北斗の拳」に深く係わる「蒼天の拳」を連載中。 株式会社ノース・スターズ・ピクチャーズ取締役として、絵本「森の戦士ボノロン」もプロデュースしている。
原先生の代表作として、「北斗の拳」がありますが、「ボノロン」は主な対象年齢も全く違いますし、同じ方の作品とは思えないくらい作品の雰囲気も違うと思われる方が多いと思うのですが、この「ボノロン」という作品を制作しようと考えられたキッカケは?原先生:これまで僕は「北斗の拳」など、小学校高学年からその上の大人向けに描いてきました。暴力シーンなども多かったのですが、人の親になり、年齢的にも40代になって、今の子ども達、さらに、これから生まれてくる子ども達に見せられるものを作りたい、と思うようになりました。それで社内で相談して、絵本をつくろうということになったんです。 絵本というのは、お子さんがこの世に生まれてきて最初に接する、一種のエンターテインメントの一つだと思うんです。その最初のキッカケに自分が関わって、できるだけ良い影響を与えて、子どもの成長に何か役に立ちたいと思う気持ちですね。 「ボノロン」を通して、先生が特に伝えたいと思っていらっしゃること、テーマは何でしょう?原先生:最近、親子の時間がなかなか取れない人、ないのがあたり前になっている人が多いように見受けられるんです。でも、親子の“コミュニケーション”がやっぱり一番大事なんじゃないかなと。お母さん、お父さんが、言葉がまだわからない赤ん坊に話し掛けること自体が大事だと思うんです。だから、何かを伝えたいというより、この「ボノロン」をきっかけに、親子の時間、コミュニケーションをとってもらえればと思います。 「ボノロン」をきっかけに親子のコミュニケーションが深まるといいなという。原先生:そうですね。実は、僕もあまり子育てをちゃんとしてこなかったんです。やっぱり、カミサンに任せっきりで、マンガばかり描いていて。その罪滅ぼしみたいなところもありますね。 でも、これは逆に先生だからできることでもありますよね。原先生:僕は絵を描くくらいしかできないので。 “ボノロン”という名称は、オーストラリアの先住民族・アボリジニの言葉「ボノロング(自然の仲間)」からつけられたということですが。原先生:最初は他にもいろいろ候補が挙がったんですが、その中で、“ボノロン”という響きが一番良かったので。 実は、“ボノロン”は最初は力士のイメージだったんですよ。体型もそうなんですが、“ボノロン”の頭のシルエットを見ていただくとおわかりいただけるかと思うのですが、大銀杏なんです。ディズニーとかではなく、日本人が日本から発信する、子ども向けの作品、キャラクターをつくりたいという想いがずっとあって。だから、“和”を取り入れて、洋風なアレンジで出していきたいと思ったんです。“自然”を感じさせるアースカラー、“和”をイメージさせる大銀杏頭の“ボノロン”。この作品を、日本だけでなく、より多くの国で見てもらって、世界中に幸せの空気を流すことができればと思っています。 みなさんは、多分、「北斗の拳」のイメ−ジが強いので、“ボノロン”の絵柄や作風を見て、すごく意外に思われると思うのですが。原先生:そうですね。デザインは僕がしましたけど、イラストレーターさんにアレンジして描いてもらって、彼と共同制作みたいな感じでやっているので。ちょっとオシャレな感じで、可愛く描いてもらえたと思います。 “ボノロン”が叶えてくれる願い事は1つだけというのは何かやはり意味があるのでしょうか?原先生:1つだけだからこそ、その子どもの本当の願い、心の声が、聞けると思うんですよ。1番のね。2番目・3番目とかになってくると、あれが欲しいとか、これが欲しいとか、いろいろ出てきてしまう。1番これが足りないと思っていること、その声を聞いてあげると、その話はみなさんに共通するようなテーマで、いい物語になるだろうと思ったんです。
先生は“ボノロン”に叶えて欲しい願い事はありますか?原先生:いや、僕はもう、好きに生きているので(笑)。 今回、この「ボノロン」がアニメ化されて、キッズステーションで11月5日から放送されるわけですが、アニメがテレビで放送されるという話を聞かれた時、どのように思われましたか?原先生:一番の目的である、子ども達に接してもらうときに、やっぱり最初は映像の方が接しやすいだろうし、話にも入っていきやすいと思うんです。お母さん、お父さんとの対話の時間をとってもらいたいと思っても、いろいろ制約もあるでしょうし。だから、こういうテレビで見ていただくことも大事なのではないかと思うんです。僕も結構テレビッ子だったので、一人でテレビを見ていた記憶はありますからね。 何か印象に残っているテレビ番組とかございますか?原先生:「ウルトラマン」とか「ジャングル大帝」とかかな。 「ウルトラマン」同様、“ボノロン”も“森のヒーロー”ですよね?原先生:タイトル的にはそうなっていますが、僕自身は、あまり“ヒーロー”という感覚はありませんね。“正義”でも、子どもと共に考え、お互いに一緒に成長していく“お友達”的な感じだと思いますよ。 最後に、このインタビューをご覧のみなさんにメッセージをお願い致します。原先生:この「ボノロン」をキッカケに親子の時間をちょっとでも増やしていただければと思います。お子さんと内容について話し合ってみるとか、そういう時間をとってもらいたいなと。「そういうことって良いことだよね」とか「悪いことだよね」とか。そんなちょっとしたことでも良いと思うんですよ。お子さんの“感情”の部分に訴えるような話をしてもらえればと。“お子さんの目を見て話してあげる”。その時間が大事だと思うので。それがきっと子どもにとって大きな栄養になると思います。 お子さんだけでなく、お母さんのために描いている回もあるんです。核家族も多いし、方向、方針を見失ったまま、お母さんが子どもを育てなければいけない状況になっていることも多いと思うんですよ。そういう時に、この「ボノロン」がそういう人の指針、ちょっとしたヒントになればと思います。
|